大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和42年(う)543号 判決

被告人 堀江利雄

〔抄 録〕

次に、職権によつて調査すると、原判決は(累犯となる前科)と題し「被告人堀江につき一、昭和三五年一二月一九日墨田簡易裁判所窃盗罪懲役一年、一、昭和三八年一月二九日東京地方裁判所賭博開張図利幇助罪懲役八月」と摘示したのみで、その法令適用の部において本件各賭博場開張図利幇助罪の刑に対し刑法第五十九条、第五十六条第一項、第五十七条を適用して三犯の加重を施しているが、再犯加重の要件としては、前刑の執行を受け終り又は執行の免除を得た日から五年内に更に罪を犯したことを要し、三犯となるためには、第一、第二の前科と本件の罪との間及び第一、第二の前科相互間に夫々再犯の要件が存することが必要とされるのであるから、原判決が、被告人において本件各犯行当時前記各刑につきその執行を受け終り又は執行の免除を得ていたこと及び第一の前科の刑の執行を受け終り又は執行の免除を得た後に第二の前科にかかる罪を犯したことを明示していないのは、累犯(三犯)加重の原因となる前科の摘示方法として甚だ不正確であると評するほかはない。しかしながら、原判決の挙示する被告人の前科調書によれば、被告人は第一の刑につき昭和三十六年十二月三日、第二の刑につき昭和三十八年九月二十七日に夫々その執行を受け終つたものであることが確認し得られるのみならず、記録に存する被告人の司法警察員に対する昭和四十一年十月二日付供述調書によれば、右第二の前科にかかる賭博場開張図利幇助罪の犯行日時は、前刑の執行を受け終つた後の昭和三十七年九月頃であることが明らかであり、原判決が前叙の如く(累犯となる前科)なる標題を付して前科の判決年月日、判決裁判所、罪名、刑期等を摘示しているところをみれば、右前科の摘示は暗に右各刑が当時夫々その執行を了していた趣旨を含むものと解し得られないでもないから、原判決の前示瑕疵は、未だ判決破棄の理由とはならないものと認める。

(坂間 沼尻 近藤)

注 本件は他の理由で破棄

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!